【徹底解説】作業療法士が回復期から維持期へ転職する3つのメリットとデメリット

回復期での経験を重ねていく中で、

と感じたことはありませんか？

そんな想いから、老健・特養・デイケアといった“維持期”への転職を考える作業療法士が増えています。

一方で、「スキルが落ちないか」「やりがいを感じられるか」といった不安の声も。

この記事では、回復期から維持期へ転職するメリットとデメリットを整理し、

▶ 回復期から別分野への転職について完全比較。

回復期から維持期へ転職する作業療法士が感じる変化とは

回復期と維持期では、支援の目的や時間の流れ、チームの役割感が大きく異なります。

転職後、多くの作業療法士が「良い意味でのギャップ」や「戸惑い」を感じることがあります。

ここでは、維持期に移ることで生じる現場感の違いや働き方の変化を整理します。

支援スタイルの違いに戸惑うこともある

回復期では「機能回復」や「退院支援」に向けた短期的なゴールが重視されますが、

維持期では“今の生活をいかに穏やかに続けてもらうか”という視点が中心です。

• 機能改善よりも“現状維持”が目的になることが多い
• 集団体操やレクリエーションがリハビリの中心となる場合もある
• 利用者の「生きがい」や「楽しみ」への支援が重視される

「治す」支援から「支える」支援への切り替えが、最初は難しく感じることもあります。

仕事のペースや働き方が大きく変わる

維持期の現場では、急変や退院対応などが少なく、時間の流れが穏やかです。

1日の業務スケジュールも比較的安定しており、心身に余裕を持って働ける環境が整っています。

• 毎日の流れがルーチン化されやすく、精神的負担が少ない
• 残業が少なく、定時に退勤できる施設も多い
• 短時間勤務やシフト調整がしやすい職場が増えている

回復期では緊張感のある場面も多かったという方にとって、

作業療法士が回復期から維持期へ転職する3つのメリット

維持期の現場には、急性期や回復期にはない「ゆっくり、深く関われる支援の魅力」があります。

ここでは、回復期での経験を活かしながら、維持期に転職することで得られる3つのメリットを解説します。

利用者との関係構築を重視した支援ができる

維持期では、利用者と長期間にわたって関わることが多く、

信頼関係を築いたうえでの支援が可能です。

• 週に複数回、数か月〜数年単位で関わるケースが一般的
• 日々のちょっとした変化にも気づきやすい
• 利用者と相談しながら進められる柔軟性

「目標達成」だけでなく、「今日も会えてよかった」と言ってもらえることが、

関係性重視のリハビリの醍醐味です。

時間や業務にゆとりがあり、穏やかに働ける

回復期のような緊張感やタイトなスケジュールとは異なり、

維持期では1日の流れに余裕があり、落ち着いた雰囲気の中で働ける職場が多いです。

• 個別リハの時間に余裕があり、丁寧に関われる
• 書類や報告業務も回復期ほど複雑でないことが多い
• 急な業務の割り込みや緊急対応が少ない

「じっくり一人ひとりに向き合いたい」
「精神的な余裕を持って働きたい」

方にとっては、非常に相性の良い環境です。

ライフスタイルに合わせた柔軟な勤務がしやすい

維持期の施設では、パート・時短・曜日限定勤務など、

多様な働き方に対応している事業所が多く見られます。

• 「午前のみ」「週3日だけ」の勤務も可能
• 残業が少なく、家庭や趣味との両立がしやすい
• 子育て・介護などライフイベントとの両立支援が整っているケースも

「常勤から非常勤に切り替えても無理なく続けられた」という声も多く、

維持期で働く作業療法士が感じる3つのデメリット

維持期の現場は、穏やかで働きやすい反面、

刺激や成長機会の少なさをデメリットに感じる作業療法士もいるのが実情です。

ここでは、実際に働いているOTから聞かれる「維持期ならではの悩み」や懸念点を整理します。

身体機能訓練の機会が少なくなる

維持期の支援では、「機能の回復」よりも「生活の維持」や「介護負担の軽減」が優先されるケースが多く、

アクティブな身体機能訓練の機会が限られがちです。

• 認知症や重度介助の利用者が多く、ADL向上が見込みづらい
• 機能訓練よりも集団レク・関わり支援が中心になることも
• 医療的判断やハンドリング技術を活かす場面が減る

「自分のリハビリスキルが錆びつかないか心配」という声も多く、

モチベーション管理が難しい場面も

維持期では、長く関わるがゆえに、変化の少ない支援内容にマンネリを感じることもあります。

• 介入しても大きな成果や変化が見えにくい
• リハビリ拒否やコミュニケーション困難な利用者対応が続く
• 成果が見えづらく、やりがいを見失いがちになることも

「評価→訓練→改善」といった“臨床的達成感”を重視するOTにとっては、

モチベーション維持が難しい場面もあります。

病院と比べて給与が下がるケースがある

維持期の多くは介護保険制度の中で運営されており、

診療報酬のある急性期・回復期病院と比較すると、収入面でのギャップが生じやすいです。

勤務形態	平均月収の傾向（例）
急性期病院	26〜30万円
回復期病院	24〜28万円
維持期施設	20〜25万円

• 常勤でも介護職と同水準の給与体系が設定されることも
• 昇給ペースが緩やか、賞与が少ない傾向
• 役職がつかないと収入が頭打ちになる可能性も

「収入よりも働きやすさを重視したい」方には問題ない一方で、生活費・将来設計とのバランスは要検討です。

回復期から維持期へ転職したOTの体験談

維持期の職場に転職した作業療法士たちからは、

回復期とのギャップに戸惑いながらも、新たなやりがいを見つけたという声が多く聞かれます。

ここでは、3人のOTの体験談を紹介します。

利用者の“暮らしそのもの”を支えるやりがい

回復期から維持期へ転職したOさん

回復期では“ADL改善”や“退院支援”がゴールでしたが、

維持期に来てからは“その人の一日をどう快適にするか”が目的に変わりました。

例えば、特養で毎日同じ時間にリハビリするだけでも、

“今日も変わらずできたね”という積み重ねが信頼関係を生みます。

今では、“生きがいをつくる支援”の大切さを感じています。

自分のペースで働ける安心感

回復期から維持期へ転職したAさん

回復期時代は1日7単位、カンファ連続、帰宅も遅い…とにかく忙しかったです。

維持期に転職してからは、時間に追われることがほとんどなくなりました。

毎日同じ流れで業務が進み、定時に帰れる日がほとんど。

仕事とプライベートをしっかり分けたい人には、本当にありがたい環境です。

維持期での成長も確実にある

回復期から維持期へ転職したKさん

最初は“成長できないんじゃないか”と心配でした。

でも、認知症の方への対応や介護職との連携、

レクリエーションの工夫など、医療とは違う“生活支援力”が求められる現場です。

今では、介護職から『OTさんがいると助かる』と言われることがやりがいになっています。

まとめ｜維持期は“ゆっくり、深く関わる支援”を求める人に向いている

維持期の現場は、回復期とは大きく支援のスタンスが異なります。

急性期・回復期のようなスピード感や機能回復に特化した介入は少ないものの、

長期的に利用者と関わる中で「生活そのもの」に寄り添う支援ができることが最大の魅力です。

• もっと利用者の心に寄り添った支援がしたい
• 穏やかに働きたい

そう感じている作業療法士にとって、

維持期は新たなやりがいと働きやすさを実感できるフィールドです。