急性期の現場でスピード感をもって働く中で、

もっと利用者の生活に寄り添いたい



落ち着いた環境で働きたい
と感じる作業療法士は少なくありません。
老健・特養・デイケアといった維持期施設への転職を考える方も増えていますが、
急性期との違いに戸惑いや不安を感じる方も多いのではないでしょうか?
この記事では、
急性期から維持期へ転職する際に得られる4つのメリットと、注意しておきたい3つのデメリットをわかりやすく整理。
あわせて、転職を成功させるためのチェックポイントも解説しています。



働き方を見直したい・自分に合う職場を探したいと感じている方は、ぜひご覧ください。


- OT歴15年以上、急性期OT
- 役職名は、係長
- 転職歴2回
- 回復期→在宅→急性期(現在)
- 2回の転職で年収250万Up
- 面接対策・転職ノウハウを発信
- @yuzu_ot_reha) (
急性期から維持期へ転職を考える作業療法士が感じる不安とは?
急性期で忙しい日々を過ごす中、「もっとじっくりと利用者と向き合いたい」と思い立ち、
老健や特養、デイケアといった維持期へ目を向ける作業療法士は少なくありません。
しかし、フィールドの違いから多くの不安を感じる方がいるのも事実です。
- 急性期で築いたスキルが活かせるか心配
- 医療依存度が低い現場に戸惑いがある
- 職場環境や給与への不安
ここでは、代表的な不安とその背景を3つに分けて解説します。
急性期で築いたスキルが活かせるか心配
急性期では、限られた時間の中で状態の変化に対応し、的確な評価とアプローチを求められる場面が多く、
“スピードと判断力”を武器にしてきたOTも多いでしょう。
維持期の現場は比較的ゆったりとした時間の中で、生活支援やQOL向上を目的とした介入が中心です。
そのため、
- この環境では自分のスキルが活かされないのでは?
- 医療的判断の場面が少なくて物足りなく感じそう
といった不安を抱く方も少なくありません。
ただし、維持期でも急性期経験者の評価力・観察力は重宝されることが多く、
介護職や他スタッフとの連携にも強みを発揮できる場面があります。
医療依存度が低い現場に戸惑いがある
維持期では、医療処置や急変対応が少ないことが特徴です。
そのため、医師や看護師の介入頻度が少なく、
「医療職」としての自分の立場が薄れてしまうのではないかと感じることもあります。
- 医学的なアプローチができない
- 専門職のやりがいを感じづらくなるかも
という印象を持つこともありますが、これは視点の転換が必要です。
維持期のリハでは、“病気を治す”のではなく“その人らしい暮らしを支える”ことがミッションになります。



視点を変えることで、リハビリの本質に気づく機会にもなり得ます。
職場環境や給与への不安
維持期の施設は、「人手が足りない」「給与が下がる」といったイメージを持たれやすい分野でもあります。
特に急性期病院で働いていた場合、
スケールの違いや福利厚生の差に不安を感じることがあります。
この疑問は、施設ごとにかなり差があるため、
事前にしっかりと職場の実態を調べることが大切です。


急性期から維持期へ転職する4つのメリット
維持期の現場(老健・特養・デイケア)は、急性期とは異なるリズムと価値観で動いています。
「物足りなさ」を感じるかと思いきや、
そこでしか得られないやりがいや成長も多くあるのが事実です。
- 生活に密着した支援ができる
- 自由度の高い働き方が可能
- プレッシャーの少ない現場で働ける
- 利用者との関係性を大切にできる
ここでは、維持期ならではの魅力を4つに整理してご紹介します。
生活に密着した支援ができる
維持期の最大の特徴は、「生活」にフォーカスしたリハビリができることです。
- トイレ・食事・更衣といったADLの実生活場面に直結する支援
- 趣味活動や買い物支援など、“その人らしさ”を引き出すアプローチ
- 福祉用具や住宅改修の提案を通じた環境調整
急性期では「医学的な回復」が中心ですが、
維持期では“できることを増やす”より、“できるように支える”視点が求められます。
自由度の高い働き方が可能
維持期施設では、
リハビリの時間設定やアプローチ方法に裁量があるケースが多く、比較的柔軟に動けるのが特長です。
- 病院ほど厳格なリハビリ時間の制限がない
- 曜日ごとのプログラム設定や、利用者ごとのペース配分も可能
- OT自身の裁量で「創作活動」や「地域活動」も提案できる施設もある
特にデイケアでは、1日型/半日型で働き方が変えられるなど、
ライフスタイルに合わせた勤務形態も選べます。



自分のアイデアや工夫が、現場に反映されやすいのも魅力ですね。
プレッシャーの少ない現場で働ける
急性期では「期限までにADLを改善し退院させる」など、
常に結果とスピードが求められる環境です。
一方、維持期では経過を見守りながら“寄り添う支援”が中心となり、精神的な余裕が持ちやすくなります。
- 重篤な急変対応の頻度が少ない
- 突発的な処置・会議への対応が少ない
- “失敗が許される環境”でリハビリに集中できる



「落ち着いた環境で、もっと深く関わる時間が増えた」という声も多く聞かれます。
利用者との関係性を大切にできる
維持期では、長期的に関われることが大きな特徴です。
急性期では数日〜数週間で退院するケースが多いのに対し、
特養や老健では月単位〜年単位での支援が可能です。
- 季節行事や趣味活動など、非医療的な関わりが増える
- ご家族との関係も深まり、在宅支援・介護相談まで踏み込める
- 利用者の「表情の変化」や「日常の小さな達成」に気づける
このように、“その人の人生”に関わる実感が得られるのが維持期のやりがいでもあります。
急性期から維持期へ転職する3つのデメリット
維持期には多くのメリットがある一方で、
「知らずに転職すると後悔するかもしれない」注意点もあります。
- 医療的スキルの継続が難しい
- 多職種連携の機会が減ることもある
- 業務がルーチン化しやすい
急性期とのギャップから戸惑う場面も多く、
“期待外れ”を防ぐには事前にデメリットを理解しておくことが重要です。
医療的スキルの継続が難しい
維持期では、医療依存度の低い利用者が多く、
急性期で培った臨床推論・緊急対応スキルが求められる場面が少なくなります。
- モニタリングや急変対応の頻度が減る
- 医師や看護師との専門的なディスカッションが少ない
- リスク管理能力が低下しないよう、自分で学び続ける必要がある
「このままだと医療職としての自信が薄れそう…」と感じるOTもいます。
対処法
- 学会や勉強会で知識をアップデートし続ける
- 週に1〜2日、病院勤務を掛け持つのも一つの選択肢
多職種連携の機会が減ることもある
特養やデイケアでは、医師やリハビリ職が少数で、介護職主体のチームになるケースが多くなります。
- OT/PTが1〜2名のため、連携の幅が狭い
- 他職種とのディスカッションが形式的で、深まらないことも
- リハビリの重要性を理解されにくく、肩身が狭くなることも
「専門職同士の刺激が少なく、成長の実感が持てない」と感じる方も。
対処法
- 施設内での役割を自ら発信し、関係性を築いていくことが大切
- 外部のOTとの勉強会やSNSでの情報交換も有効
業務がルーチン化しやすい
維持期では、同じ利用者・同じ施設・同じ環境で働くため、日々の業務が単調に感じられることがあります。
- 毎日同じようなADL介入やグループ活動が続く
- 「慣れてきたら何となく仕事をこなしてしまう」という状態に
- キャリアの先が見えず、モチベーションが低下することも
「やりがいがなくなってきた…」という声も決して珍しくありません。
対処法
- 個別支援計画や集団活動に新しい視点やテーマを取り入れる工夫が必要
- 定期的に外部研修に参加し、“自分の成長の軸”を持ち続けることが大切
転職前に確認したい3つのチェックポイント
維持期(老健・特養・デイケア)への転職は、
働き方や価値観が急性期と大きく異なるため、職場選びの段階での“見極め”が非常に重要です。
- 維持期の業務内容と職場文化
- スキルの活かし方・維持の工夫
- キャリア全体での位置づけを考える
ここでは、ミスマッチを防ぐために事前に確認すべき3つのポイントを紹介します。
維持期の業務内容と職場文化
まずは、「どんな支援を、どんなスタイルで行っているのか」をしっかり把握することが大切です。
- リハビリ内容は個別?集団?
- 1人の利用者にどれくらいの時間が取れるか?
- OTが主体的に関われているか?形式的になっていないか?
デイケアでは、レクリエーション色が強すぎると「介護職の延長」に感じることもあります。
見学・面談での質問例
- 「個別リハビリの頻度や時間はどれくらいですか?」
- 「OTの役割は施設の中でどう位置づけられていますか?」
スキルの活かし方・維持の工夫
急性期で培った専門性を維持期でどう活かせるか、
“自分の武器が使える環境か”を見極めましょう。
- 脳血管障害・整形疾患の経験は活かせるか?
- 生活環境評価・家族指導の経験を活かせる場面あるか?
- 外部研修や学会参加の支援制度はあるか?
「医療職としての成長も止めたくない」という方は、
スキルアップ支援の有無を必ず確認してください。
キャリア全体での位置づけを考える
維持期での勤務が、
“自分のキャリアの中でどういう役割を果たすか”を明確にしておくことが重要です。
- 生活期リハへのステップアップ?
- ワークライフバランスの確保?
- 管理職や地域連携の役割を見据えた経験?
「今後どうなりたいか?」を軸に、



“維持期の経験がキャリアにどうつながるか”を明確にしておくと後悔がありません。
まとめ|維持期でOTとしての価値を再発見しよう


急性期の経験を活かして維持期に転職することは、
「スピード」から「生活」へと支援の質をシフトする選択とも言えます。
医療的なスキルから一歩離れるように見えても、
“人の暮らしに寄り添う”という本質的な作業療法の価値に立ち返るチャンスでもあるのです。
維持期の現場は、急性期とは異なるやりがいと成長を感じられる貴重なフィールドです。
- 忙しさではなく、深く関わる支援をしたい
- もっと自分らしく働ける環境を探したい
そんなあなたにとって、新たな一歩を踏み出す価値がある選択肢となるでしょう。
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