作業療法士として働くなかで、
「退職したいけど、職場にどう伝えればいいのか分からない」と悩む方は少なくありません。
実際に私も、上司に退職の意思を伝える瞬間は緊張と不安でいっぱいでした。
この記事では、作業療法士に多い
- 退職理由の本音と建前
- 上司への伝え方のコツ
- 伝えるタイミングのベストな時期
などを、実体験を交えて丁寧に解説します。
さらに、円満に辞めるために押さえておきたい3つの成功ポイントや、避けるべきNG表現まで詳しく紹介。

「辞めたいのに言い出せない」そんな悩みを持つ方の背中をそっと押す記事です。


- OT歴15年以上、急性期OT
- 役職名は、係長
- 転職歴2回
- 回復期→在宅→急性期(現在)
- 2回の転職で年収250万Up
- 面接対策・転職ノウハウを発信
- @yuzu_ot_reha) (
作業療法士に多い退職理由と本音・建前の使い分け
退職の意思を伝えるとき、避けて通れないのが「理由の伝え方」です。
本音をそのままぶつけてしまうと関係を悪化させてしまうこともありますし、
逆に曖昧すぎても不信感を与えかねません。
- よくある退職理由の本音と建前
- 自分の退職理由を整理する方法
- 感情をぶつけない伝え方の工夫
ここでは、作業療法士によくある退職理由と、それをどう“伝えやすい形”に変換するかを紹介します。
よくある退職理由の本音と建前
まず、現場でよく耳にする「本音の退職理由」と、
それを伝える際の“建前”の言い換え例を整理してみましょう。
本音の退職理由 | 伝えるときの建前の言い方例 |
---|---|
上司との人間関係が限界/パワハラがある | 「職場環境が自分に合わず、今後のキャリアを見直したいと考えました」 |
給与や待遇が見合わない | 「今後のライフプランを考え、働き方や待遇面を再検討したいと思いました」 |
業務過多/残業が多くて体調を崩しそう | 「心身のバランスを見直すために、働き方を変える必要があると感じています」 |
やりたい分野(例:小児・精神)と違っていた | 「専門性を深められる領域で改めて経験を積みたいと考えるようになりました」 |
家庭の事情(結婚・育児・介護など) | 「家庭と仕事の両立を見直す必要が出てきました」 |
「相手に伝えるための言葉」は、
事実と異なる必要はありませんが、感情的にならない表現に言い換えることがポイントです。
自分の退職理由を整理する方法
退職理由をうまく伝えるためには、
まずは自分の中で本音をはっきりさせておくことが大切です。
おすすめの整理方法は以下のようなフレームです。
- 「なぜ辞めたいのか?」を紙に書き出す(本音)
- それを第三者に話すつもりで、言い方を整える(建前)
- 感情が入っていないか、責任転嫁になっていないかをチェック
退職理由を言語化できていないと、
伝えるときに迷いが出てしまい、説得力や信頼感を失う原因にもなります。
感情をぶつけない伝え方の工夫
退職理由を伝えるときに最も避けたいのが、
「怒り」「批判」「恨み」をそのまま言葉に乗せてしまうことです。
たとえば、
- 「上司に我慢の限界です」→ 攻撃的な印象を与える
- 「この職場には将来性がないと思っています」→ 職場全体を否定する表現
このような表現は、辞めた後の評価にも影響を残しかねません。
私自身も退職時、上司への不満はありましたが、
「訪問リハの働き方が合わず、他の選択肢を模索したい」という言い回しに変えて伝えました。



誠実に、かつ冷静に伝えることで、関係を壊さずに辞めることができます。
職場に退職理由を伝えるときのベストタイミングは?
退職を決意したあと、
多くの作業療法士が最初につまずくのが、「いつ、誰に、どのタイミングで伝えるべきか」という点です。
- 伝えるのは退職希望日の「2~3カ月前」が理想
- 繁忙期や人事異動の時期は避けるべき?
- 私が実際に伝えたタイミングと反応
ここでは、退職をスムーズに進めるためのベストなタイミングと伝え方の順序をお伝えします。
伝えるのは退職希望日の「2~3カ月前」が理想
まず原則として、退職理由を伝えるのは、遅くとも退職希望日の2~3カ月前が理想です。
このタイミングで伝えることで
- 業務の引き継ぎ期間が確保できる
- 後任者の採用や調整が間に合う
- 職場に迷惑をかけにくく、円満に辞めやすい
たとえば、3月末で退職したいなら、1月上旬には意思を伝えるのがベストです。
繁忙期や人事異動の時期は避けるべき?
できれば、繁忙期や人事異動の直前には伝えない方が無難です。
理由は以下の通り:
- 忙しい時期に退職相談を持ちかけると、話を後回しにされがち
- 異動・昇進のタイミングに重なると、「裏切り」と受け取られることもある
- 感情的な対応をされやすく、話し合いがこじれるリスクがある
そのため、落ち着いたタイミングを見計らって、
直属の上司に時間を取ってもらう形で話すのがベストです。
私が実際に伝えたタイミングと反応
私自身は、年度末の3月退職を希望しており、12月の第2週に上司へ相談の時間を取りました。
以下のような流れで話しました:
- 「少しお時間をいただけますか」と事前にアポを取る
- 個室や落ち着いた場で、「3月末での退職を考えている」と伝える
- 理由は簡潔に「働き方を見直したい」と前向きに
- 感謝の言葉も添えて、円満な雰囲気を意識
結果として、



「突然すぎないし、しっかり考えたうえでの決断なんだね」と落ち着いて受け止めてもらえました。
作業療法士が退職理由を伝えるときの3つの成功ポイント


退職理由を伝えるときは、「何を言うか」よりも「どう伝えるか」が大切です。
- 短く、明確に、前向きに
- 感謝の気持ちを添える
- 迷ったら書面にまとめて渡すのもOK
ここでは、
私自身の経験と他のOT仲間からの実例をもとに、上司に好印象を残しつつ退職を伝える3つのポイントを紹介します。
短く、明確に、前向きに
退職理由を伝えるときにやりがちなのが、説明が長くなってしまうこと。
すると相手に「言い訳」や「迷い」に見えてしまいます。
以下のように、簡潔でポジティブな表現を意識するだけで、印象が大きく変わります。
悪い例
「業務が多すぎて、自分の時間がまったく取れなくなっていて…でも仕事は嫌いではないんですけど…」
良い例
「今後の働き方を見直したく、キャリアについて新たな選択をすることにしました。」
相手の立場や職場の都合を踏まえつつも、
ブレない意志を示すことが信頼感につながります。
感謝の気持ちを添える
退職を伝える際には、必ずこれまでの感謝の言葉を添えるようにしましょう。
たとえ不満があった職場でも、「お世話になったことがある」のは事実。
その誠意ある一言が、円満退職につながります。
例文
「これまでたくさん学ばせていただき、本当に感謝しています。未熟な点も多かったと思いますが、○○さんや皆さんに支えていただきました。」
こうした言葉があるだけで、「円満に辞める姿勢」を感じ取ってもらえます。
迷ったら書面にまとめて渡すのもOK
口頭での説明が苦手な人や、伝え漏れが不安な方は、
要点をメモにまとめて渡すのもおすすめです。
- 本音ではなく、相手に配慮した言葉選びで
- 「退職理由」「退職希望日」「お礼」などを簡潔に記載
- 事前に話したうえで、最後に「念のため書面も添えました」と渡す
これは特に、話が長くなってしまいがちなタイプの方に有効です。
私自身も、最初に上司と口頭で話したあと、
翌日に簡単なメモを渡したところ「丁寧に対応してくれてありがとう」と言われました。
NGな伝え方と上司が納得しやすい伝え方の違い
退職理由を正しく伝えたつもりでも、
言い方ひとつでトラブルに発展するケースは少なくありません。
- 感情的・批判的な言い方は避ける
- 上司が納得しやすい伝え方とは?
- 上司からの引き止めに対する返答例
ここでは、やってはいけないNG例と、上司が納得しやすい伝え方を比較して紹介します。
感情的・批判的な言い方は避ける
不満があるからこそ退職を考えるわけですが、そのまま口にしてしまうのは絶対に避けましょう。
NG例
- 「この職場にはもううんざりです」
- 「上司のやり方に納得いきません」
- 「評価されないのでやる気が出ませんでした」
このような言い方は、相手を攻撃するだけでなく、
「自分勝手な辞め方」として印象が悪くなってしまいます。
上司が納得しやすい伝え方とは?
一方で、前向きかつ冷静な伝え方であれば、上司も受け止めやすくなります。
良い例
- 「自身のキャリアを見直したく、他の領域にも挑戦したいと考えました」
- 「体調面とのバランスを見直すため、働き方を調整したいと思っています」
- 「今後の生活との両立を見直す必要があると感じました」
これらは、退職の本質を変えずに相手に配慮した言い回しです。
上司からの引き止めに対する返答例
退職を伝えると、ほとんどの場合何かしらの引き止めや打診があります。
その際は、相手を否定せず、意志の強さを伝えるのがポイントです。
引き止めの言葉 | 上手な返答例 |
---|---|
「異動できるよう掛け合うよ」 | 「ありがとうございます。ただ、今回は自分の意志で決めたことなので…」 |
「今辞めると困るよ」 | 「ご迷惑をおかけするのは承知しています。できる限り引き継ぎも準備いたします」 |
「もう少し考えてみたら?」 | 「何度も考えて出した結論です。申し訳ありませんが…」 |
丁寧に断りながらも、しっかりと意志を示すことが大切です。
実際に退職して感じた、伝え方の重要性と転職後の変化


退職理由の伝え方ひとつで、
「気持ちよく辞められるか」「辞めたあとも人間関係が続くか」は大きく変わります。
ここでは、実際の体験や他のOT仲間から聞いた成功例と失敗例を通して、伝え方の大切さをお伝えします。
上司と気まずくならず辞められた成功例
私自身は、訪問リハの職場を辞める際、
感情を抑えて、丁寧に「前向きな理由」で伝えました。
「この職場で多くのことを学ばせていただきました。ただ、今後はより在宅医療に特化した環境で経験を積みたいと思い、決断しました。」
このように伝えた結果、
- 上司から「応援してるよ」と声をかけてもらえた
- 最後の勤務日まで穏やかな空気で仕事ができた
- 離職後も職場のスタッフと連絡を取り合える関係に
円満に辞めることで、転職先でも紹介状や前職の評価がプラスに働いた実感があります。
不満を伝えすぎて職場にいづらくなった失敗例
一方、同期OTのAさんは、病棟のハードな労働環境に耐えかねて退職を決意。
上司に対して、
「もう限界です。忙しすぎて体力もメンタルも持ちません」
と感情的に伝えてしまったところ、結果として…
- 退職までの1カ月間、上司との関係が冷え切った
- 周囲のスタッフからも「辞める人」という扱いに
- 気まずさのあまり、有給消化も遠慮して出勤し続けた
「どうせ辞めるからいいや」という態度で伝えると、
自分自身が一番居づらくなるという教訓になったようです。
円満に辞めたことで次の職場でも気持ちよく働けた
退職を穏やかに済ませることができると、次の職場でのスタートにも自信が持てます。
- 転職先での面接でもポジティブに話せる
- 前職の話を聞かれても変に取り繕う必要がない
- 元同僚と業界内で再会しても気まずくならない
「辞めたことを引きずらない」という精神的なメリットはとても大きいです。
まとめ|OTが退職理由を伝えるときに心がけたいこと


「辞める理由」は人それぞれですが、
それを“どう伝えるか”で、あなたの印象も未来も大きく変わります。
今の職場に不満がある場合でも、
最後まで丁寧に向き合うことで、
あなた自身のキャリアも、関係性も守ることができるはずです。
「良い辞め方」は、次の「良い働き方」につながります。



あなたの転職がうまくいくよう、心から願っています。

