【元回復期OTが語る】回復期に向いている人の特徴とやりがいを徹底解説

• 「回復期は患者さんとじっくり向き合える現場」
• 「やりがいが大きい反面、合う・合わないが分かれる」

とよく言われます。

実際に回復期リハビリテーション病院で働いていた私も、その現実を肌で感じてきました。

この記事では、

回復期OTの仕事内容や急性期・生活期との違い、

どんな性格やスキルが“向いている”のかを、リアルな現場目線で徹底解説します。

また、やりがいや成長ポイント、逆に大変なこと・向かない人の傾向、実際の体験談まで。

「自分は回復期に向いているのかな？」

と悩む方に、現場の温度感と等身大のヒントをお届けします。

回復期作業療法士の仕事内容と特徴

回復期リハ病棟で働く作業療法士は、

「患者さんの生活を取り戻す」ことに全力で向き合う仕事です。

急性期からバトンを受け取り、

退院後の社会復帰や自立支援を目指して、日々患者さんやご家族と関わっています。

回復期OTの役割と1日の流れ

回復期OTの1日は、

• 入院時評価・短期、長期ゴール設定
• 毎日の個別リハビリ（ADL・IADL訓練・上肢訓練など）
• 多職種カンファレンスや会議で情報共有
• 家族指導・退院支援（福祉用具や住宅改修のアドバイスも）
• 社会復帰に向けた外出練習など

例として、1日のスケジュールは、

時間帯	業務内容
8:30	朝の申し送り・患者情報の確認
9:00	個別リハ（午前）
12:00	昼食・ADL評価
13:00	カンファレンスやカンファ（患者・家族同席も）
14:00	個別リハ（午後）
16:00	家屋調査、家族面談等
17:00	チーム内共有、記録

“生活全体を見る視点”と“多職種との連携”が大きな特徴です。

急性期・生活期との違い

◎ 急性期との違い

急変対応や命のリスク管理が主役の急性期に比べ、

回復期は「生活動作」「社会復帰」がリハビリの中心。

患者さんとじっくり関わり、変化を見守る時間が圧倒的に長くなります。

▶ 急性期OTに向いている特徴とは？

◎ 維持期との違い

維持期（老健や在宅など）は「現状維持」や「QOLアップ」にフォーカス。

回復期は「自立の回復」「ゴール達成」を目指す期間として、

機能・活動・参加の“伸びしろ”がまだ大きいステージです。

回復期に「向いている」作業療法士の特徴

回復期リハビリは「じっくり型」「人と深く関わるのが好きな人」にピッタリの現場です。

ここでは、

実際に回復期で働いて“向いている”と感じた人の特徴をまとめます。

患者とじっくり関わるのが好きな人

回復期は、毎日同じ患者さんと1〜3ヶ月以上じっくり関わる現場です。

• 何気ない日常会話や、ご家族との雑談もリハビリの一部
• 患者さんの「小さな変化」や「困りごと」に気付ける観察力が強み
• 変化を「一緒に喜べる」気持ちがある人ほど伸びる

回復期は「患者さんの人生の分岐点」と捉え、

共に向き合っていけるタイプは本当に向いています。

チーム医療や家族支援が得意な人

回復期は、

医師・看護師・PT・ST・ソーシャルワーカー・ケアマネ…多職種連携が超重要です。

• 周囲とこまめに情報交換・相談できる人
• 家族との信頼関係づくりや説明が得意な人
• 「みんなで患者さんを支える」一体感が好きな人

家族のサポートや、

退院後の生活設計にまで踏み込める人は、現場でも重宝されます。

生活設定やプラン作成が好きな人

• この人は退院までに何ができるようになればいい？
• どんな支援があれば自宅生活を続けられる？

ICFモデルやADL評価などを元に、具体的なプランを立てていく作業が好きな人は向いています。

「患者さん・家族と一緒に目標を考える」のが苦にならないタイプは、

回復期OTで大きなやりがいを感じやすいです。

忍耐力・継続力があるタイプ

回復期は「すぐに結果が出ない」ことも多く、

地道なリハビリの積み重ねが求められます。

• 目立たない変化も前向きに見守れる
• 小さな進歩や努力を一緒に喜べる
• 失敗や壁にぶつかった時も、諦めずにサポートを続けられる

こうした“粘り強さ”がある人ほど、患者さんの力を最大限に引き出せます。

回復期OTのやりがい・魅力と成長ポイント

回復期リハビリの現場には、

他のどの分野にもない“深い関わり”と“感動”があります。

ここでは、実際に働いて感じたやりがいや成長ポイントをまとめます。

患者の人生に深く関われる

回復期では患者さんの人生の“再出発”を支える立場になります。

• できなかった動作が少しずつ自立していく様子を見守れる
• 「先生のおかげで家に帰れました」と感謝の言葉を直接もらえる
• 不安や希望に寄り添い、「家に帰るまで」を一緒に考えることができる

この「人生に深く関わる実感」は、回復期OTだけが味わえる特権です。

小さな変化・回復を一緒に喜べる

• 昨日は立ち上がれなかった人が、今日はトイレまで車椅子でいけた
• 「自分で着替えができた」と涙する患者さんの笑顔
• 退院前の屋外歩行訓練で「家まで歩いて帰れる」という喜び

こうした“小さな一歩”が積み重なって、

やがて「自宅復帰」「社会復帰」という大きなゴールにつながります。

チームでゴールを目指す達成感

回復期は多職種で支え合いながら患者さんのゴールを目指す現場。

• カンファで情報共有を重ね、全員で「この人の退院」を叶える
• 職種の垣根を超えて協力し合う一体感
• 退院の日の患者さんの笑顔を、みんなで分かち合える

一人では叶えられない目標を、

チームで達成できる充実感と成長を日々感じられる。

これも回復期ならではの魅力です。

回復期で「大変なこと・向かない人」の傾向

回復期OTはやりがいが大きい一方、

現場のリアルな“しんどさ”や向き・不向きもはっきり出やすいのが特徴です。

ここでは、実際に働いて感じた大変な点や、向かないと感じやすい人の特徴をまとめます。

変化のスピードが遅いことへのジレンマ

• 毎日同じ患者さんに関わるからこそ「昨日と何が変わった？」と焦りやすい
• 「思うようにリハビリが進まない」日々が続くことも
• 患者さん・ご家族の焦りや不安を、OT自身が受け止め続けることも多い

「すぐ結果が見たい」「短期間で達成感を得たい」タイプの人には、

もどかしさを感じる場面が多いです。

多職種・家族とのコミュニケーションの難しさ

• 多職種・家族と深く関わる分、意見の食い違いや説明の難しさも多い
• 「自宅復帰か施設入所か」など、ご家族との話し合いに時間がかかることも
• 他職種と連携しながら、「患者さんの希望・現実・制度」すべてを調整する苦労

コミュニケーションが苦手な人や、

「人間関係の板挟みがつらい」と感じやすい人には、ストレスになる場合があります。

感情移入しすぎて疲れてしまう

患者さんやご家族と長く深く関わる分、

「うまくいかない」「希望に応えられない」時のダメージも大きいです。

人によっては自分の力不足を責めてしまったり、

感情移入しすぎて「家に帰っても患者さんのことばかり考えてしまう」ことも。

“寄り添いすぎて自分が疲れる”そんな自覚がある人は、

オンオフの切り替えや相談相手をつくるのがおすすめです。

回復期のしんどさは、誰にでも一度は訪れるもの。

“一人じゃない”ことを忘れないでください。

私の体験談｜回復期で得たこと・転機になった出来事

回復期OTとして働いた期間は、

自分自身の価値観を大きく広げてくれた時間でした。

ここでは、現場で悩んだこと、それをどう乗り越えたかについてお話しします。

回復期で悩んだことと乗り越え方

• 「思うように成果が出ない」
• 「患者さんや家族と信頼関係を築けない」

ことも若手の頃は日常茶飯事。

何度プランやアプローチを練り直しても結果が出ず、

と悩む日もありました。

そのたびに、先輩やチームの仲間に話を聞いてもらったり、

気持ちをリセットする趣味や家族との時間を大切にするようにしました。

また、

患者さんやご家族の「本音」に耳を傾ける姿勢を意識したことで、関係性が一気に良くなったことも。

「うまくいかないときほど、寄り添う気持ちを忘れない」

これが今の自分の支えです。

キャリアへの広がり（他分野へのチャレンジ）

回復期で培った「じっくり関わる力」や「チームで目標に向かう経験」は、

その後の訪問リハや今いる急性期、

また管理職へのキャリアアップにも大きく役立ちました。

多職種との調整力、患者・家族への説明力など、

回復期が合わないと感じた時の選択肢

• 「思っていたより自分には合わなかった」
• 「やりがいはあるけど、しんどさが勝ってしまう」

そんなとき、

無理に続けるよりも自分らしいキャリアを見つけるための一歩を踏み出すのも大切です。

急性期・維持期・訪問リハなど別分野へのステップ

作業療法士にはさまざまな働き方があります。

回復期で得た「じっくり関わる力」や「家族支援の経験」は、他分野でも十分に活かせます。

• 急性期：
  「スピード感」や「変化の大きさ」が好きな人には、急性期の刺激的な現場が向いています。
• 維持期：
  「生活支援」「QOLアップ」を重視した、より長期的なサポートができます。
• 訪問リハ：
  患者さん一人ひとりに深く寄り添える、フレキシブルな働き方も選択肢です。

「今の自分に合う現場はどこだろう？」

と考えながら転職や異動を検討するのは、決して“逃げ”ではありません。

▶ 回復期からの転職はどこがいい？

「自分に合った現場」を見つけるヒント

• 自分の得意・苦手を紙に書き出してみる
• いろんな分野の現場を見学・体験する
• 転職エージェントや同業者の知人に相談し、客観的な意見を聞いてみる
• 「何のために働くのか」自分自身の軸を持つ

「合わない」と感じても、それは“自分探しの途中”なだけ。

どの経験も必ず次のステップに活かせるので、

まとめ｜回復期OTはやりがいが詰まった現場

回復期リハは、

患者さんやご家族と深く向き合い、“生活を取り戻す”サポートができる場所です。

やりがいも感動も大きい一方、変化の少なさや人間関係の難しさに悩むこともあります。

それでも、

• 「寄り添う力」
• 「じっくり見守る粘り強さ」
• 「チームで支える経験」

は、どんな現場でも必ず強みになります。

もし回復期が合わないと感じたとしても、その経験は次のキャリアで必ず活きる。

それが作業療法士という職業の魅力です。