急性期病院の作業療法士として働く毎日は、決して“楽”とは言えません。
- 「急変への対応」
- 「スピードが求められる現場」
そんな中でも、“やりがい”を感じる瞬間や、「自分はこの現場に向いている」と思える適性が確かにあります。
この記事では、急性期OTのリアルな仕事内容や役割から、
どんな人が向いているのか・どんな人が悩みやすいのか、現場ならではの“しんどさ”や“やりがい”、
そして「急性期経験を積むことで得られるキャリアの広がり」まで。
現役で管理職として働く筆者の体験をもとに、本音ベースで徹底解説します。
「自分は急性期に向いている?」
「やっていけるのか不安…」

そんな悩みを持つ方へ、リアルな情報と少しの勇気を届けられたら幸いです。


- OT歴15年以上、急性期OT
- 役職名は、係長
- 転職歴2回
- 回復期→在宅→急性期(現在)
- 2回の転職で年収250万Up
- 面接対策・転職ノウハウを発信
- @yuzu_ot_reha) (
急性期作業療法士の仕事内容と求められる役割


急性期病院の作業療法士は、
「患者さんの命を守る」ことが何よりも優先される、特殊な環境で働いています。
日々の業務や役割は、一般的なリハビリ現場とは異なるプレッシャーやスピード感が求められます。
急性期OTの主な業務と1日の流れ
急性期OTの一日は、朝から緊張感に満ちています。
主な業務内容は次の通りです。
- 発症・術後早期の介入・評価とリスク管理
- ICUやHCUでの早期離床支援
- 廃用予防・早期ADL獲得を目指した個別リハ
- 多職種と連携し、カンファレンスやチームラウンド
- 患者の急変・転棟・退院調整への素早い対応
例えば1日のスケジュール例は、
時間帯 | 業務内容 |
---|---|
8:30 | 朝の情報収集・患者モニタリング |
9:00 | 各病棟で朝の申し送り・リスクアセスメント |
10:00 | ICUや一般病棟で早期リハ開始(ベッド上や離床支援) |
12:00 | ADL評価(食事等)、記録 |
13:30 | 病棟カンファレンス・医師や看護師との情報共有 |
14:30 | 個別リハ |
16:00 | 家族指導・退院支援、委員会参加 |
17:00 | 記録、申し送り、サマリー作成 |
急性期の現場では、



「分刻みで状況が変化する」ため、柔軟な判断力と素早い行動が必須です。


回復期・維持期との違い
回復期や維持期と比較すると、急性期の大きな特徴は次の3つです。
- 医療リスクが常に高い(突然の急変など)
- 患者が短期間で次々に入れ替わるため、目の前の課題解決が重要
- 「早期離床」のリスクが高い現場
一方で、
「患者さんの回復が目に見えて分かる」
「短期間で大きな変化がある」



そんな急性期ならではの“やりがい”も、この後で詳しく解説します。
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急性期の現場は、
やりがいと同時に「向き・不向き」がハッキリ出やすい職場でもあります。
ここでは、現場で働いて感じた「急性期に向いている人」の共通点を解説します。
判断・決断が速い、変化を楽しめる
急性期では、患者さんの急変はよく起きます。
そのため「今どうすべきか?」を即断・即決できる人、
あるいは「状況が変わることを前向きに楽しめる」タイプが強みを発揮します。
例えば、
- 状況に応じて、すぐにリハビリ内容や優先順位を変更できる
- 「急な予定変更」「イレギュラー対応」を柔軟にこなせる
- 毎日が同じではない環境を「ワクワク」と感じられる
この“現場の変化を楽しめるかどうか”は、
急性期OTの適性の大きなポイントです。
チーム医療・多職種連携に前向き
急性期では、「OTだけ」で判断・行動する場面はほとんどありません。
医師・看護師・リハスタッフ・ソーシャルワーカーなど、多職種連携が日常的に求められます。
- 人と協力し合うことに抵抗がない
- 他職種と積極的にコミュニケーションを取るのが好き
- 違う立場・意見も受け入れてチームで最善を考えられる
こうしたタイプは、
急性期の“スピード感ある連携”でもストレスなく働けます。
プレッシャーや緊張感をプラスにできる
「命に関わる現場」では、どうしてもプレッシャーや緊張感はつきものです。
- 重要な役割を担うことで自分が成長できると感じる
- 「緊張感=やる気スイッチ」になる
- 失敗やミスを教訓に、すぐに気持ちを切り替えられる
これらを“やりがい”や“責任感”に転換できる人は、
急性期でのびのびと力を発揮しやすいです。
気持ちの切り替え・セルフケアが得意
急性期では「思い通りにいかない」ことも多々あります。
患者さんの回復が思わしくないケースや、つらい場面に立ち会うことも…。
- 家に仕事を持ち込まず、オンオフの切り替えができる
- 上手にストレス発散・自分をケアする方法を持っている
- 失敗を長く引きずらず、切り替えができる
こうした“心のタフさ”やセルフケア力も、急性期OTには欠かせません。



“変化を楽しみ、チームと動けるタイプ”が急性期で活躍できるタイプと実感しています。
急性期で感じるやりがい・モチベーションの源泉


急性期作業療法士は、「しんどい」と言われる一方で、
他の分野では味わえないやりがいや、モチベーションの源となる体験もたくさんあります。
ここでは、現場で感じる急性期ならではの魅力をお伝えします。
命に関わる現場で“今ここ”に全力投球できる
急性期の現場は、1日1日の重みが全く違います。
患者さんの命と直結するリハビリや離床支援は、どんな小さな変化も見逃せません。
- 昨日は寝たきりだったのに今日は車椅子に座れるようになる
- 家族と一緒にリハビリゴールを共有し、希望を届けられる瞬間
- 医師や看護師とともに「患者さんの命を守る一員」である実感が持てる
“今この瞬間”に全力を注ぎ、
少しずつでも患者さんの回復をサポートできる喜びは、急性期ならではのやりがいです。
回復・変化が目に見えて分かる
急性期では、患者さんの状態が日々ダイナミックに変化します。
昨日はBr-stageⅡだった人が、数日後には空間位で上肢が使える。
そんな「目に見える回復」に立ち会えるのは大きなモチベーションです。
- 回復期や生活期よりも「リハビリの効果がすぐ分かる」手応え
- 自分のアプローチが直接、患者さんの生活を変えていく実感
「患者さんと毎日一緒に改善を積み重ねていける」のは、急性期ならではです。
多職種と成長しあえる喜び
急性期は多職種連携が当たり前の現場。
自分ひとりではできないことも、
医師や看護師、薬剤師、管理栄養士など様々なプロと関わることで、自分の知識や視野が大きく広がります。
- カンファレンスやラウンドで積極的に意見を交換できる
- 様々な価値観や専門知識に触れて、自分自身もレベルアップできる
- チームで一人の患者さんを支える達成感
この「多職種と一緒に成長できる環境」は、急性期OTの大きな魅力です。
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急性期作業療法士はやりがいも大きいですが、
そのぶん「つらさ」や「壁」を感じやすいのも事実です。
ここでは現場のリアルな“しんどさ”と、急性期に向かない人の傾向をまとめます。
ミスの許されない責任・スピード感
急性期は一瞬の判断ミスがアクシデントに直結することもあるため、毎日が緊張感の連続です。
- 最新の医療機器の知識や操作への慣れ
- ルート管理などのリスク管理への神経の張り詰め
- 急変が重なり、物理的な忙しさ・精神的な負担が一気に高まる
こうした「常に100%の集中力を求められる環境」は、
長く続くと心身の負担も無視できません。
多職種連携のストレスや人間関係
急性期は多職種と連携するからこそ“ぶつかり合い”やストレスも多いです。
- 様々な診療科の医師との関わり・コミュニケーションでのストレス
- 回復期と違い、病棟でリハの意見が通りにくい
特に新人や経験の浅いOTは、最初は戸惑いやすい部分です。
プライベートとの両立や働き方の悩み
急性期は残業が多くなりがちで、
家庭や自分の時間とのバランスに悩む人も少なくありません。
- 突発的な転院や退院で急遽、書類作成で残業となる
- 急変対応でその後の患者診療が後回しになり、結果残業となる
- 救急患者への松葉杖指導や動作指導を頼まれることも
自分や家族のライフスタイルと合わなくて「急性期を離れた」という声も実際にあります。
急性期の現場は“合う・合わない”が本当に分かれます。



「つらい…」と感じたら、一度立ち止まって働き方を見直すのも大切です。


私の体験談|急性期で得たもの・苦労したこと


私は急性期OTとして、日々さまざまな感情や学びと向き合ってきました。
ここでは、特に印象に残っているエピソードや苦労、
そして急性期で得られた“財産”についてお伝えします。
つらい時どう乗り越えたか
急性期の現場は、感情労働とストレスの連続。
患者さんの死や重い後遺症に直面し、
「何もできなかった」と自責の念に押しつぶされそうになることもありました。
そんな時に支えになったのは、
- 「一人で抱え込まず、誰かに話すことで心が軽くなる」
- 「同じ悩みを分かち合える仲間がいるだけで救われる」
この経験は今も大切な財産です。
また、仕事の外に趣味や家族との時間をしっかり持つことで、
気持ちを切り替え、再び現場に向き合うエネルギーを養ってきました。
急性期を経験したキャリアの広がり
急性期での経験は、
自分自身の成長やキャリア形成にも大きな影響を与えました。
- 緊急対応力、判断力、チームでのリーダーシップが磨かれた
- プレッシャーの中でも“今何が最善か”を考える力がついた
- 幅広い疾患への知識や対応力が身に付いた
今では係長としてチームをまとめる立場に。



急性期で得た経験が、後輩育成や管理職としての視野拡大にもつながっています
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急性期の現場はやりがいが大きい一方で、
- 「自分には合わない」
- 「このまま続けていいのか」
と悩む瞬間も珍しくありません。
そんな時、無理に続けるのではなく自分に合った働き方やキャリアを考えることも大切です。
別分野へのキャリアチェンジ・転職
「どうしても急性期が合わない」「心身ともに限界を感じる」
そんな場合は、
回復期や維持期、訪問リハなど別のステージへチャレンジする選択肢も十分ありです。
- 回復期はじっくり患者さんと関わりたい人におすすめ
- 維持期は生活全体を支える視点が身につき、負担が急性期より軽いケースも
- 訪問リハは自分のペースで働きやすい、利用者と深く向き合えるメリットあり
キャリアを広げることで、“自分らしい働き方”が見つかることも多いです。


急性期から転職のポイント
- 急性期の経験は、他分野でも必ず強みになる
- 今後のキャリアの希望を整理し、転職エージェントなどに相談するのもおすすめ
- どんな道を選んでも「それまでの経験は無駄にならない」
「向いていない=失敗」ではなく、
“自分に合う場所を見つけていくこと”が大事です。



無理せず自分を大切にしながら、納得できるキャリアを築いてほしいです。
まとめ|急性期作業療法士は適性とやりがいが鍵


急性期病院で働く作業療法士は、責任感・判断力・チーム力など高い適性が求められる現場です。
「急性期がすべての人に合う」とは限りません。
向いていないと感じた時も、その経験は決して無駄ではなく、回復期や訪問リハなど次のキャリアで必ず活かせます。
どんな現場でも「自分らしさ」と「納得感」を大事に
これから急性期OTを目指す方、いま現場で悩んでいる方も、
自分に合った働き方を見つけて一歩ずつ進んでいきましょう。



現役急性期OTとして、あなたの挑戦と成長を心から応援しています。
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