
作業療法士を続けるのは体力的に厳しい…



次のキャリアとして市役所勤務を目指したい
そんな思いを持つ方も少なくありません。
セカンドキャリアとして公務員を考える作業療法士は近年増えてきています。
市役所では、
- 障がい福祉課
- 高齢者福祉課
- 介護保険課
など、医療・福祉の知識を活かせる部署があります。
ただし、採用ルートは自治体によって異なり、
公務員試験が必須な場合もあれば、任期付き職員として募集される場合もあります。
この記事では、
作業療法士が市役所で働ける具体的な部署や仕事内容、採用の方法を詳しく解説します。
さらに、私自身が「市役所勤務を考えたときの体験談」や、市役所以外のセカンドキャリアの選択肢についても紹介します。



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作業療法士が市役所勤務を目指す理由と背景


作業療法士として臨床で働き続けるなかで
「市役所勤務に移りたい」と考える人は少なくありません。
その背景には、体力的な負担や将来への不安といった現場特有の事情があります。
ここでは代表的な理由を整理します。
医療現場を離れても専門性を活かしたい


作業療法士として培った知識や経験を、
違う形で社会に役立てたいと考える方は多いです。
「臨床は続けられないけれど、これまでの経験を無駄にしたくない」
という気持ちが、市役所を目指す理由のひとつになっています。
安定した収入や働き方を求めている


厚生労働省「賃金構造基本統計調査2021」によると、
作業療法士の平均年収は約420万円。
これは日本の全労働者平均(約490万円)より低い水準です。
さらに、病院勤務では土日出勤や残業が発生することもあり、家庭との両立が難しいと感じる人もいます。
その点、市役所勤務は
- 基本的に土日祝休み
- 安定した給与制度
- 長期的な雇用保障
があるため、セカンドキャリア先として魅力に映るのです。
セカンドキャリアとして人気が高まっている


近年は「一生臨床で現場に立ち続けるのは難しい」と感じるOTが増えています。
特に40代以降では体力的な負担が大きくなり、
「第二のキャリア」を考える時期に差しかかります。
その際、
「社会福祉分野で専門性を活かしつつ、安定した公務員として働ける市役所」
が候補に挙がるのは自然な流れだといえるでしょう。
作業療法士が市役所勤務で活かせる部署と仕事内容


市役所勤務といっても、すべての部署で作業療法士の専門性が求められるわけではありません。
実際に活かせる場面は、
医療や福祉に関連する部門に集中しています。
- 障がい福祉課での相談・支援業務
- 高齢者福祉課や介護保険課でのケアマネ連携
- 保健センターでの健康相談や地域支援
- 任期付き職員としての採用事例
ここでは代表的な部署と仕事内容を整理します。
障がい福祉課での相談・支援業務


障がい福祉課では、
障がいを持つ方やその家族からの相談に応じ、生活支援や福祉サービスの利用調整を行います。
主な業務内容
- 個別支援計画の作成やモニタリング
- 保護者・本人との相談対応
- 福祉サービス事業所との調整・連携
- 利用者ニーズに応じた福祉用具や住宅改修の助言
作業療法士の「生活機能や環境調整に関する知識」が活きる場面が多く、
特に福祉用具や住宅改修のアドバイスで専門性を発揮できます。
高齢者福祉課や介護保険課でのケアマネ連携


高齢者福祉課や介護保険課では、
介護認定の申請やケアマネジャーとの連携を担当します。
主な業務内容
- 要介護認定調査
- 介護予防事業の企画・運営
- 地域包括支援センターとの調整
こうした業務は、
高齢者リハビリや生活支援に関わってきたOTにとって親和性が高い分野です。
保健センターでの健康相談や地域支援


市役所が運営する保健センターでは、
地域住民に対する健康相談や教室運営が行われています。
作業療法士としての運動指導・生活習慣改善の知識は、健康づくり事業で強みとなります。
OTが関われる業務例
- 運動教室や栄養教室の運営支援
- 生活習慣病予防に関する啓発事業
- フレイル予防プログラムの実施
- 地域サロンでの健康講座や介護予防支援
実際に一部の自治体では、
「任期付き職員」としてOTを採用し、健康づくりプログラムに関与させるケースもあります。



「地域の健康づくり」という広い視点で働きたい方には非常に適したフィールドです。
任期付き職員としての採用事例


多くの市役所では「一般事務職」としての採用が中心ですが、
近年は任期付き職員として医療職や福祉職を募集する事例もあります。
主な業務
- 障害者支援コーディネーター
- 地域包括ケア推進担当
- 福祉政策担当
この場合、
自治体によって大きく異なるため、
気になる方は各自治体の募集要項を必ず確認しましょう。
市役所で作業療法士が働くための採用ルート


「どうやって採用されるの?」
これは多くの作業療法士がつまずくポイントです。
実際、市役所で働く方法は一つではなく、正規職員に限らず、さまざまな“入口”が存在しています。



ここでは、代表的な4つのルートをご紹介します。
福祉職や社会福祉職枠から受験する


市役所で正規職員(公務員)として採用されるには、公務員試験を受けて合格する必要があります。
この場合、「作業療法士」という枠での採用は稀で、
多くは福祉職・社会福祉職・心理職などの枠になります。
ポイント
- 地方上級・中級試験の「社会福祉職」区分を確認
- 福祉系学部出身や現場経験が要件になることが多い
- 作業療法士資格は「加点」にはなるが、必須条件ではないことが多い
試験内容は、
教養試験(一般常識や数的処理)+専門試験(社会福祉・法律・行政)+面接など。



十分な対策と数ヶ月以上の勉強期間が必要になります。
会計年度任用職員・非常勤から目指す


近年注目されているのが、
会計年度任用職員(いわゆる非常勤公務員)として市役所に入る方法です。
この制度は2019年から始まり、
1年単位で契約される非常勤職員に、基本給や賞与が付与されるようになりました。
メリット
- 年齢制限がほぼない
- 経験や資格を重視して採用されることが多い
- フルタイム・パートタイムなど柔軟な働き方が可能
- 公的機関での実務経験を積める
作業療法士がこの制度で採用される事例としては、
地域包括支援センターや保健センターでの生活支援相談員などがあります。
民間委託事業経由で市役所関連部署に入る


市役所の業務の一部は、
民間企業やNPOなど外部事業者に委託されているケースも多く、
この委託先で働くことで“市役所の中の人”として業務に関わることができます。
例
- 介護予防教室の運営事業(OTが講師や指導者として配置)
- 高齢者の生活支援ニーズ調査
- 障害者就労支援プロジェクトの実施スタッフ
これらの案件は「公務員採用」とは異なりますが、
行政の現場で実績と人脈を築くことができるため、
後の常勤登用や正規職員応募の際に大きなアピール材料になります。
他資格(社会福祉士・保健師など)と併せて活かすケース


市役所勤務では、
- 社会福祉士
- 保健師
- 精神保健福祉士
などの資格が優遇されるケースが多いです。
そのため、OTに加えてこれらの資格を取得している場合、市役所での採用ルートが広がります。
実際に、「作業療法士+社会福祉士」というダブルライセンスで、市役所の福祉課に採用された例もあります。



セカンドキャリアとして市役所を目指すなら、こうした資格取得も視野に入れる価値があります。
私の体験談:市役所勤務を考えたときの気づき


ここからは少し個人的な話を交えて、
私が「市役所勤務」を意識したときの気づきをシェアします。
現場の作業療法士として働くなかで、
市役所というセカンドキャリアを考えた理由や、実際に調べてみて感じた現実について率直に書きます。
現場の疲労から「市役所で働きたい」と思った理由


回復期病院や訪問リハで働いていたころ、
体力的にも精神的にも疲れが溜まり、「ずっと臨床を続けるのは難しいのでは」と考えるようになりました。
特に20代後半に結婚を契機に、



仕事と育児…この先も現場でフルタイムは厳しいかも…
と感じたのが正直なところです。
そのとき頭に浮かんだのが「市役所勤務」でした。
安定した勤務体制、公務員としての安心感、そして福祉行政に関われるという点に魅力を感じていました。
実際に募集要項を調べてわかった現実


いくつかの自治体の募集要項を調べてみると、
想像していたよりも「作業療法士専用の枠」は少ないことに気づきました。
必ずしも障害福祉課や高齢者福祉課に行けるわけではありません。
また「任期付き職員」の募集は確かに存在しましたが、
期限付きの採用であり、将来的な安定性という点では少し不安も感じました。
市役所勤務のメリットとデメリットに気づいた瞬間


市役所勤務の魅力は、やはり安定性とワークライフバランスです。
土日祝休みで残業も少なく、生活リズムを整えたい人には大きなメリットです。
一方で、
「作業療法士としての専門性をどこまで活かせるか?」
を考えたとき、少し物足りなさを感じるのも事実です。
この体験から学んだのは、
「市役所勤務=万能なセカンドキャリアではない」ということ。



メリットとデメリットをしっかり理解したうえで判断することが、後悔しない選択につながると感じました。
市役所以外で作業療法士が築けるセカンドキャリア


市役所勤務は安定感がある一方で、
求人が少なく競争も激しいのが現実です。
セカンドキャリアを考えるなら、市役所以外の選択肢も広く知っておくことが大切です。
ここでは代表的なキャリアパスを紹介します。
教育分野(専門学校教員や研修講師)


作業療法士養成校の教員や、研修会の講師として働く道があります。
- 学生への講義・実習指導
- 臨床経験を活かした教育・研究活動
- 学会やセミナーでの講演
教育分野は臨床経験が必須とされることが多く、
特に10年以上の経験や認定OT資格があれば有利です。
- 「人材育成に関わりたい」
- 「教育を通してOTの未来を支えたい」
という方におすすめです。
介護・福祉施設でのマネジメント職


介護老人保健施設(老健)、特養、デイサービスなどで、
リハ職としてだけでなく管理職・マネジメント層として活躍するケースも増えています。
- リハビリテーション全般の統括
- 職員育成やチームマネジメント
- 介護保険制度に基づく加算対応
現場を離れても「組織全体を支える立場」でキャリアを築けるのは、
セカンドキャリアとして魅力的です。
企業(福祉用具・医療機器メーカーなど)


OTの専門性を活かして企業で働く道もあります。
- 福祉用具メーカー:製品開発・営業・ユーザー支援
- 医療機器メーカー:インストラクター職、製品導入サポート
- 保険会社:福祉・医療分野に関わる相談業務
臨床経験を営業や開発に転換できる点が強みです。



人と関わることが好きな方や、新しい挑戦を求める方に向いています。
大学病院や研究機関でのキャリア


臨床から教育・研究にシフトしていく選択肢もあります。
大学病院や研究機関では、
症例研究や学術活動に携わることができ、専門性をさらに高めることが可能です。
- 「研究に興味がある」
- 「作業療法を学術面から発展させたい」
という方にはやりがいの大きいキャリアです。
後悔しないキャリア選択のためにできること


市役所勤務は魅力的なセカンドキャリアのひとつですが、
必ずしも全員にとって最適とは限りません。
大切なのは「自分がどう働きたいか」を明確にし、幅広い選択肢の中から判断することです。



ここでは、後悔しないためにできる行動を整理します。
自分のキャリアプランを整理する


- 「安定した働き方をしたい」
- 「まだ臨床でスキルを磨きたい」
- 「マネジメントや教育に関わりたい」
こうした自分の希望を言語化することで、
選ぶべき進路が見えてきます。



漠然と「辞めたい」「変えたい」と思うだけでは、方向性が定まりません。
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市役所勤務は採用枠が少なく、倍率も高いのが現実です。
そのため「市役所だけ」に絞るのはリスクが大きいです。
民間の病院や施設でも、
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まとめ|作業療法士が市役所勤務をセカンドキャリアに選ぶときに考えること


市役所勤務は、
作業療法士にとって安定した働き方や社会貢献の場を得られる魅力的なセカンドキャリアです。
ただし、採用枠は少なく競争率も高いため、
「市役所一本」に絞るのはリスクがあります。
自分の可能性を狭めず、
まずは転職エージェントに登録し、幅広い選択肢を知ることが大切です。



あなたにとってベストなセカンドキャリアは、市役所だけではなく、もっと広いところにあるかもしれません。

