【完全比較】訪問リハの作業療法士が転職するならどこ？4分野の特徴と選び方を解説

訪問リハでの支援にやりがいを感じながらも、

と感じていませんか？

実際、訪問リハで経験を積んだ作業療法士の多くが、

急性期・回復期・維持期・精神科といった他分野への転職を検討する時期を迎えます。

本記事では、それぞれの転職先の特徴や働き方、向いている人の傾向を徹底比較。

あなたの不安や迷いに寄り添いながら、

• 「どの分野が最適なのか」
• 「訪問経験をどう活かせるのか」

が明確になるよう解説します。

キャリアに悩む作業療法士の方が、

作業療法士が訪問リハから転職したい理由とは？

訪問リハにやりがいを感じながらも、

「今後の働き方を見直したい」と考える作業療法士は少なくありません。

ここでは、転職を意識する4つの代表的な理由を紹介します。

訪問リハの魅力と限界

訪問リハは、生活の場で支援ができるやりがいある仕事です。

住宅改修や福祉用具の選定、家族支援など、

“生活全体を支える作業療法”を実感できます。

一方で、臨床技術の面で物足りなさを感じる方も多いのが現実です。

以下のような機会が少なくなることが、その要因になっています。

• 医療的判断（バイタル・疾患管理など）
• チーム医療への直接的関与
• 専門技術のアップデートの機会

また、個人裁量が大きい分、

「相談できない孤独感」や「独りよがりな支援になっていないか」という不安も起こりやすくなります。

他分野への興味が出るきっかけ

他の分野に関心を持ち始めるタイミングは、訪問リハでの仕事に慣れた頃にやってきます。

特によくあるのはこんな場面です。

• SNSで他の分野のOTの活動を見る
• 病院スタッフとの退院前カンファレンスで刺激を受ける
• 学び直しやスキル向上への意欲が高まったとき

「このまま訪問リハだけで終わっていいのか」
「病院や施設をもう一度経験してみたい」

そんな“好奇心”が、転職のきっかけになるケースは非常に多いです。

将来性・キャリア形成の不安

長く訪問分野にいると、

「この先どうなるんだろう」という漠然とした不安が出てきます。

特にキャリア5年以降の中堅OTで多く見られます。

よくある不安	内容
昇進が難しい	小規模な職場が多くポストが限られる
教育機会が少ない	若手や学生との関わりがない
専門性に不安	認定資格の取得や学会活動が難しい

「専門性を広げたい」
「教育に関わりたい」

という願いを持つ方にとって、

働き方・プライベートの見直し

訪問リハは自由度が高く、一見働きやすそうに見えます。

しかし実際は、こんな負担を感じる方も少なくありません。

• 急なキャンセルでスケジュールが崩れる
• 車移動や訪問件数で身体的に疲れる
• 書類業務が自宅に持ち越されがち

加えて、今後のライフプラン（結婚、親の介護、キャリアチェンジなど）を考えたとき、

「もっと安定した勤務体系にしたい」と考える方も増えてきています。

訪問リハから急性期へ転職するメリットと注意点

急性期は医療現場の最前線。

スピード感と専門性が求められる一方で、大きな成長が期待できる職場です。

ここでは、

訪問リハ出身のOTが急性期へ転職したときに得られるメリットと、注意すべきポイントを整理します。

急性期で得られる専門性と経験

急性期は、疾患発症から間もない状態の患者に介入するため、

臨床判断力や病態理解を深く養える環境です。

とくに、以下のようなスキルが高まります。

• バイタル変動や急変への対応
• 術後・ICU患者への早期リハ対応
• 多疾患・多病態のアセスメント

訪問では得にくかった“医療の感覚”が、

日常的に求められるため、専門職としての引き出しを大きく増やすことができます。

スピード感とプレッシャーへの対応力

急性期は常に時間との勝負。

患者の状態が日々変化し、次々と新しいケースに対応する必要があります。

最初は「ついていけるだろうか？」という不安を感じるかもしれません。

よくある課題と対応例

課題	対応の工夫
記録・評価に時間がかかる	テンプレートや音声入力で効率化
業務量が多い	タスク優先順位を明確に
チーム連携に緊張する	日々の会話で関係性を築く

「最初の3ヶ月は慣れる期間」と割り切ることで、

徐々にペースがつかめるようになります。

むしろ、一定のプレッシャーの中で働くことで、

自己管理能力や冷静な判断力が磨かれ、社会人としての成長にもつながります。

訪問経験が活きる場面

「訪問しかやってこなかったから不安」という声は非常に多いです。

しかし実際は、訪問リハでの経験は急性期でもしっかりと活かされます。

• ADL支援の視点が深く、退院支援に強い
• 家族支援や住宅改修への理解がある
• 利用者の生活背景を含めた提案ができる

とくに退院支援カンファレンスなどでは、

「在宅でどう支援できるか」という視点を持つOTは貴重な存在です。

教育体制とフォローアップ環境

「急性期＝即戦力が必要」というイメージを持たれがちですが、

実際は教育制度が整っている病院も多く存在します。

• プリセプター制度（新人に指導者がつく）
• OJT＋勉強会やカンファレンスの定期開催
• クリニカルラダーによる段階的成長支援

病院見学の際には、

「新人教育にどの程度力を入れているか？」を必ずチェックしておきましょう。

▶ 詳しくはこちらで解説。

訪問リハから回復期へ転職するメリットと注意点

回復期は、「治療的な作業療法」を実践できる分野です。

在宅支援の視点を持つ訪問OTだからこそ活きる経験も多く、再挑戦にも適しています。

ここでは、回復期ならではの特徴と、注意点について解説します。

機能回復に関わるやりがい

回復期の最大の魅力は、

「リハビリによって機能が回復していくプロセスに深く関われること」です。

急性期で命を救われた患者が、

再び“生活”を取り戻すための重要なフェーズにあたります。

• ADLが自立していく過程に立ち会える
• ご本人や家族と目標を共有しやすい
• 日々の成果が実感しやすい

「リハビリ職としての醍醐味を再確認したい」
「もう一度、回復する過程に関わりたい」

多職種連携とチーム医療の経験

回復期リハビリテーション病棟は、

POSだけでなく、医師・看護師・MSWなど多職種が密に連携するのが特徴です。

訪問では1人での判断が求められる場面が多いですが、

回復期では「チームで支える」文化が根付いています。

連携場面	内容
退院前カンファレンス	自宅復帰に向けた各職種の意見交換
症例検討会	難渋症例への対応方針を協議
情報共有ミーティング	食事・排泄・ADL状況の共有

訪問リハで“個人技”に近い支援を行っていた方にとって、

チームの一員として動く面白さや学びが新鮮に感じられるはずです。

教育機会とスキルアップ環境

回復期の現場は、教育環境が比較的整っており、

若手・中堅どちらにも学び直しの機会が多いです。

• 毎週の症例検討会・勉強会
• 新人教育マニュアルやOJT制度
• 外部研修参加への支援体制

さらに、施設によっては以下のような成長支援もあります。

• 回復期セラピストマネジメント研修
• 認定OT取得に向けた支援制度
• 臨床研究や学会発表の機会

セラピストとしての引き出しを増やすには最適な環境です。

訪問経験が強みになる場面

訪問経験者は、回復期でも大きな戦力になります。

特に退院支援の場面では、

在宅復帰後の生活に即した提案ができるため、非常に重宝されます。

• 住宅環境を想定したADL訓練
• 福祉用具・住宅改修のアドバイス
• 家族とのコミュニケーション力

特にリハビリ職の中でもOTは、退院後の生活設計に深く関わるため、

▶ 詳しくはこちらで解説。

訪問リハから維持期へ転職するメリットと注意点

維持期（老健・特養など）では、長期的な関わりを通じて、

安定した支援ができる点が特徴です。

ここでは、訪問リハ経験者が維持期に転職した場合のメリットと注意点を紹介します。

長期的な関わりができる支援

維持期では、在宅復帰を前提としないケースが多く、

「QOLを保つ支援」や「慢性疾患と向き合う継続的なリハ」が中心になります。

• 利用者の変化を長期間追いながら対応する
• 身体機能の維持を目的とした訓練計画
• 生活行為全体へのアプローチ

訪問では数ヶ月で支援が終了するケースが多いですが、

維持期では“長く寄り添う支援”が可能となり、信頼関係の深まりがやりがいにつながります。

働きやすさ・安定した業務環境

維持期施設は、

医療機関に比べて「業務の安定性」が高いという特徴があります。

項目	備考
勤務時間	日勤帯中心。残業少なめ
緊急対応	ほとんどなし。土日休みの施設も多い
書類業務	フォーマットが固定化されており簡略化されていることが多い

また、介護職・看護職とのチーム連携も重要になるため、

心身への負担が少ない働き方

訪問リハでは、移動や天候、スケジュール変更の負担が大きくなりがちです。

その点、施設勤務である維持期は、

屋内業務中心で移動がなく、時間も管理しやすいという点で身体的・精神的に安定しやすい環境です。

• 結婚や親の介護で時間の融通を優先したい
• 長く働ける穏やかな職場を探している
• 定時で帰りたい・土日は休みたい

「バリバリ働くより、ゆとりを持って働きたい」

そんなニーズにも応えられるのが、維持期施設の大きな魅力です。

医療スキル低下・業務の曖昧さへの注意点

一方で、維持期ならではの注意点も存在します。

まず、医療的スキルの維持が難しくなる可能性があります。

• バイタル変動への即時対応
• 急性疾患や術後の対応
• リスク管理・早期離床の実践

また、介護施設では「介助業務」と「リハビリ業務」の境界があいまいになることも。

▶ 詳しくはこちらで解説。

訪問リハから精神科へ転職するメリットと注意点

精神科作業療法は、「こころ」に向き合う繊細かつ奥深い領域です。

ここでは、訪問リハ出身者が精神科に転職する際の魅力と注意点を解説します。

心理的ケアに関われる専門性

精神科では、身体ではなく“心”にアプローチする機会が中心となります。

利用者の内面や感情に寄り添い、

信頼関係を構築するプロセスが、作業療法士の重要な役割です。

• 作業活動を通じた情緒の安定支援
• 集団活動による対人スキルの向上
• 自己理解や生活リズムの再構築支援

「話を聞いてもらえた」「一緒に作業して安心した」などの反応を通じて

落ち着いた環境でじっくり支援

精神科の支援は、急性期のように時間に追われるものではありません。

利用者との関係を築きながら、

ゆっくりと段階的に支援を積み重ねていくことが求められます。

訪問リハでも「じっくり関わる支援」にやりがいを感じていた方には、

精神科の環境は非常にフィットしやすいです。

• 支援目標は“生活の再構築”や“社会復帰”
• 一人ひとりのペースに合わせた対応が可能
• 利用者の感情に変化が現れた瞬間が支援の成果

時間的な余裕と、

精神的な深い関わりが両立できる環境は、他の分野ではなかなか得られない特徴です。

信頼関係を築く作業療法の魅力

精神科作業療法の中で最も大切なのが「信頼関係の構築」です。

精神的に不安定な状態にある方にとって、OTとの関係性が生活再建の鍵を握ります。

訪問リハでは、利用者や家族と信頼関係を築く力が必要不可欠。

• 相手のペースを尊重できる
• 共感力・傾聴力が高い
• 小さな変化を丁寧に観察できる

こうした“人との関わりの質”を重視する姿勢は、精神科で非常に重宝されます。

疾患理解・施設ごとの差異への理解

一方で、精神科は他分野と比べて専門性が高く、

施設間での支援スタイルの差が大きいという特徴があります。

注意点	内容
精神疾患の特性理解	幻覚・妄想・抑うつ・希死念慮など、基礎知識が必要
支援目的の違い	「できるようになる」より「安心して過ごす」が目的の場合も多い
職場文化の差	作業療法室の自由度やOTの役割に差がある

また、支援の成果が出るまでに時間がかかるため、

「成果主義」や「効率」を重視していた方には、最初は戸惑いを感じるかもしれません。

そのため、

▶ 詳しくはこちらの記事で解説。

どの転職先が自分に合っている？選び方のポイント

転職の成否は、「自分に合った職場かどうか」で大きく変わります。

ここでは、訪問リハからの転職先を選ぶ際に重要な4つの判断基準を紹介します。

迷ったときは、ここで紹介する視点をもとに整理してみてください。

キャリアの軸を明確にする

まず大切なのは、自分のキャリアにとって「何を優先したいか」を明らかにすることです。

目的によって、適した職場は大きく異なります。

優先したいこと	向いている分野
医療的スキルを高めたい	急性期・回復期
教育機会や成長環境がほしい	回復期・精神科
長く安定して働きたい	維持期・精神科
生活支援に軸足を置きたい	維持期・精神科

「今後どんな作業療法士になりたいのか」
「どんな働き方をしていきたいのか」

これまでの経験をどう活かすか

転職においては、「今までの経験がどう活かせるか」も重要なポイントです。

訪問リハで培った力は、どの分野でも大いに役立ちます。

• ADL支援に強い
• 家族対応の経験が豊富
• 多職種連携や調整力がある
• 生活環境をふまえた支援ができる

無理に「ゼロから」やり直そうとせず、

職場の雰囲気と教育体制をチェック

職場ごとに、雰囲気や教育体制には大きな差があります。

どんなにやりがいがある分野でも、

「人間関係」や「教育のなさ」でつまずくことは少なくありません。

• 新人指導やOJT体制があるか
• 勉強会や研修への参加機会はあるか
• カンファレンスや症例検討は定期的にあるか
• チームの雰囲気（声かけ、話しやすさなど）

「働き始めてから知った」では遅いことも多いです。

▶ 詳しくはこちらの記事で解説。

ライフスタイルに合った働き方か

最後に、働く時間や場所が「自分の生活にフィットしているか」を見極めましょう。

訪問リハでは比較的自由度の高い働き方ができますが、

他分野では勤務体制が大きく異なることがあります。

働き方の条件	確認したいポイント
残業の有無	日勤のみ／定時退勤可能か
土日休みかどうか	病院・施設により異なる
勤務地	通勤手段、転居の必要性
時短やフレックス制度	育児や介護との両立可能性

「せっかく転職したのに、働きづらくなった」では本末転倒です。

ライフスタイルと仕事のバランスを考慮し、自分に合った働き方ができる職場を選びましょう。

よくある質問｜訪問リハから転職する際のQ&A

訪問リハからの転職を検討する中で、

OTの皆さんからよくいただく質問とその回答をまとめました。

「病院経験がないと転職は難しい？」

結論から言うと、病院経験がなくても転職は可能です。

実際に、訪問リハから急性期・回復期・精神科・維持期へと転職したOTの事例は多数あります。

とはいえ、

病院側としては「即戦力」よりも「今後の成長性」や

「チームに合うかどうか」を重視する傾向が強くなっています。

そのため、以下のような姿勢を示すことが大切です。

• 訪問リハでの経験を具体的に伝える
• 学ぶ姿勢や継続的な学習意欲をアピールする
• 医療知識や評価技術に関心を持っていることを伝える

病院経験がないことを「不利」と捉えるよりも、

▶ こちらの記事で解説。

「何歳までなら転職できる？」

年齢による制限は一概には言えませんが、

30代後半までは比較的柔軟に転職が可能です。

40代以降でも、マネジメント志向や専門スキルがあれば十分に需要はあります。

年齢	転職の特徴
20代	育成前提、経験は問われにくい
30代前半	実務経験が評価されやすい
30代後半	専門性・リーダー経験がカギに
40代以降	管理職・教育経験の有無が重要

年齢が上がるにつれて、「自分の強みをどう活かせるか」が重要になってきます。

面接では年齢よりも

• 「どんな働き方がしたいか」
• 「何を実現したいか」

が評価される傾向にあります。

▶ こちらの記事で解説。

転職に有利な資格やスキルは？

必須ではありませんが、

特定のスキルや資格があると評価が高まることは事実です。

• 認定作業療法士・専門作業療法士
• 呼吸療法認定士・心臓リハビリ指導士
• 認知症関連研修
• 福祉住環境コーディネーター2級以上

ポイントは、

「どんな患者にどんな支援ができるか？」という文脈で資格やスキルを説明できることです。

▶ 詳しくはこちらの記事で解説。

「見学では何を見ればいい？」

見学では、業務内容よりも“人と雰囲気”を見ることが大切です。

書類や求人票ではわからない“空気感”が、自分に合う職場かどうかを左右します。

• OT同士や他職種とのコミュニケーションは活発か
• 新人に対してどんなフォローをしているか
• スタッフの表情が明るく、挨拶が自然か

見学後には、「ここで働く自分の姿が想像できるか」を自問してみましょう。

迷った場合は、

▶ 詳しくはこちらの記事で解説。

まとめ｜訪問リハから転職するなら、自分らしさを軸にしよう

訪問リハから他分野への転職は、不安もありますが可能性も広がる選択です。

本記事では、急性期・回復期・維持期・精神科の4つの分野について詳しく紹介しました。

転職で大切なのは、

「今の自分にとって、どんな働き方が最適か」をしっかり考えることです。

一時の感情や焦りで決めるのではなく、

「自分らしく働ける環境か」を軸にすることで、後悔の少ない選択につながります。