作業療法士が訪問リハから回復期へ転職する3つのメリットと失敗しないコツ

そんな思いを抱えている作業療法士の中には、

回復期リハビリ病棟への転職を検討する方も増えています。

とはいえ、業務内容の違いや職場環境のギャップに不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、訪問リハから回復期への転職で得られる3つのメリットと、よくある不安の対処法を詳しく解説。

訪問リハから回復期へ転職を考えるきっかけとは

訪問リハビリは、利用者の生活に深く関われる点で大きな魅力があります。

しかし長く携わるうちに、

• もっと治療的な支援がしたい
• チームで働く現場に戻りたい

といった思いが芽生えることもあります。

ここでは、訪問リハの作業療法士が回復期へ転職を考える主なきっかけを紹介します。

訓練内容に物足りなさを感じるようになった

訪問リハでは、訓練内容が「維持」や「生活動作中心」になりやすく、

医学的・治療的なアプローチが限られることがあります。

• 急性期〜回復期のような「機能回復」訓練が少ない
• 訓練がルーチン化しやすく、臨床的な成長実感が薄くなる
• 同じような対象者・訓練メニューにモヤモヤしてしまう

「もう一度、リハビリ職としての力を試したい」と感じることが転職の動機になるケースは少なくありません。

病院でのチーム医療や連携に興味が出てきた

訪問では、基本的に単独での判断・介入が多く、

看護師・医師・リハ職がリアルタイムで関わる場面が少ないです。

そのため、病院での多職種連携への憧れを抱く方もいます。

• 他職種との共同意思決定が学べるチーム医療に関心がある
• OTとしての専門性をチームでどう発揮するかを体感したい
• 医師や看護師とリアルタイムで意見交換したい

「連携をしっかり学びたいなら病院の方が合っている」と考え、回復期への転職を選ぶ方も増えています。

若手OTとの関わりや教育の場に戻りたい

訪問リハでは、単独業務で後輩や学生との関わりが持ちにくく、教育や指導の機会が少ないのが現実です。

一方で回復期では、若手OTの育成や実習指導に携わるチャンスが多く、

「自分も支える側になりたい」と思うこともあります。

• 臨床教育や実習生の指導を経験したい
• チームの中で自分の役割や貢献を実感したい
• 成長の循環がある環境で働きたい

経験を重ねたからこそ、

訪問リハから回復期に転職する3つのメリット

訪問リハと回復期は、支援対象も介入スタイルも大きく異なる分野です。

だからこそ、転職によって得られるメリットは実に多くあります。

ここでは、訪問リハから回復期に転職することで得られる代表的なメリットを3つに絞って解説します。

機能回復に直結する支援でリハの成果が見える

回復期では、急性期直後の患者が在宅復帰を目指してリハビリに励むため、

機能回復の実感を得やすいのが大きな魅力です。

• 肩の可動域が広がった
• 立ち上がり動作ができるようになった
• 自分の訓練で歩けるようになった

訪問リハでは維持・補完的な支援が中心になりがちですが、

多職種連携によるチーム医療が学べる

回復期は、医師・看護師・PT・ST・MSWなどとの連携が日常的に行われ、

チームの一員として動く機会が非常に多いのが特徴です。

• 日々のカンファレンスで多職種と情報共有
• 退院支援で生活背景まで踏まえた調整が求められる
• OTとしての専門性をチーム内で明確に示すことができる

チームで連携しながら支援を組み立てていく体験は、

教育体制や症例の幅が広くスキルアップにつながる

回復期は、多様な疾患・状態の方が入院してくるため、症例が豊富で知識や技術の幅を広げられる環境でもあります。

• 脳血管障害・整形疾患などの対応力が高まる
• 教育マニュアルや勉強会が整備されている施設が多い
• 若手の指導を通じて、自身の理解も深まる

スキルの再構築や専門性のブラッシュアップを目指すなら、回復期は非常に有意義な選択肢です。

訪問リハから回復期に転職する際の不安と対処法

「回復期って忙しそう」「自分にできるかな？」

訪問リハから病院へ戻るとなると、不安を感じるのは当然です。

ここでは、訪問リハ出身の作業療法士が感じやすい不安と、その具体的な乗り越え方を紹介します。

訪問特化の経験でも現場で通用する？

「訪問リハしかやってこなかった自分に、回復期は務まるのか？」

そんな不安を持つ方は多いですが、

訪問リハで培った視点はむしろ回復期でも求められています。

• 在宅を見据えたADL評価が得意
• ご家族対応や地域資源の理解が深い
• 生活動線・住宅環境への知識も強みになる

「回復期から在宅に戻す」プロセスにおいて、

スピードや業務量のギャップをどう乗り越えるか

訪問リハと比べると、

回復期は1日あたりの訓練件数が多く、書類業務も多忙になりやすいです。

• 初めは「評価→訓練→記録」の流れに慣れるのが大変
• 時間管理や段取り力が重要になる
• 担当患者数が増えると負担に感じることも

対処法としては以下の通りです

課題	対処法例
記録・評価に時間がかかる	テンプレートや先輩の記録を参考にする
スケジュール管理が難しい	優先順位を意識し、1日の流れを可視化する
疲れがたまりやすい	休憩やセルフケアを意識的に取り入れる

「最初の3か月を乗り切れば一気に慣れる」という声も多く、焦らず少しずつ馴染むことが大切です。

回復期で活きる訪問リハの視点とは

実は、

訪問リハ出身者だからこそ持っている“生活視点”や“在宅への意識”は、回復期で非常に重宝されます。

• 「家で本当にこの動作ができるか？」と現実的に考えられる
• 福祉用具や介護保険の知識が活かせる
• 退院後の生活リスクを早期に見抜ける

「訪問リハから来たOTは退院支援が的確」と評価される場面も多くあります。

回復期への転職が向いている作業療法士の特徴

回復期は、急性期ほどのスピード感はないものの、

医療的な知識や臨床的判断、チーム連携のスキルが問われる現場です。

どんな人が回復期に向いているのか、3つのポイントに分けて解説します。

機能回復のプロセスに関心がある

回復期では、リハビリの効果が目に見えて現れやすく、日々の変化を追えるのが大きな特長です。

• 「寝たきり」から「歩ける」へと変化するプロセスを支援できる
• 関節可動域や筋力の改善が数字で見える
• リハの成果を患者や家族と共有できる

訓練の積み重ねが成果に直結するため、

多職種と密に連携する働き方が好き

回復期は、多職種が一丸となって、在宅復帰を支援するチーム医療の現場です。

• カンファレンスで意見を出し合う
• 日々の経過共有や目標設定を協力して行う
• 他職種の視点から学べる機会が多い

チームで動くことが苦ではなく、

「協働することにやりがいを感じる」タイプのOTにとっては大きな魅力があります。

若手の指導やチームの中で成長したい

回復期は、教育体制が整っている施設が多く、

後輩指導やチームづくりに関わるチャンスも豊富です。

• 若手OTへのOJTや実習生指導の機会
• チームの中で役割を持ち、発言できる場面が多い
• 中堅層としての役割を求められる場でもある

「自分の経験を後輩に伝えたい」「周りと切磋琢磨して成長したい」方には、

やりがいのある環境が待っています。

まとめ｜訪問リハでの経験を活かして回復期でさらに飛躍を

訪問リハでの経験は、作業療法士としての「生活に寄り添う力」「現場での判断力」を磨く貴重な財産です。

そしてその経験は、

回復期というリハビリの中心ステージでも十分に通用します。

訪問リハからのキャリアチェンジに迷いがあるなら、

「今の経験をどう活かせるか」を軸に考えてみてください。

あなたの“生活を見る力”は、回復期の現場でこそ求められる視点です。