急性期で忙しい日々を過ごす中で、

身障・精神ともに診れるようになりたい



こころのリハビリに関わってみたい
と感じる作業療法士の方も多いのではないでしょうか。
精神科は、急性期とはまったく異なる視点と関わり方が求められる分野です。
とはいえ、「精神科ってどんな仕事内容?」「今までの経験が通用するの?」という不安もあるはず。
この記事では、
作業療法士が急性期から精神科へ転職する際に知っておきたい3つのメリットとデメリットを丁寧に解説。
あわせて、転職を成功させるためのポイントも紹介しています。



新たなフィールドでやりがいを見つけたい方は、ぜひ参考にしてみてください。


- OT歴15年以上、急性期OT
- 役職名は、係長
- 転職歴2回
- 回復期→在宅→急性期(現在)
- 2回の転職で年収250万Up
- 面接対策・転職ノウハウを発信
- @yuzu_ot_reha) (
急性期から精神科へ転職を考える理由と不安
精神科への転職を考える作業療法士の中には、
急性期と精神科では環境や求められるスキルが大きく異なるため、不安を感じるOTも多くいます。
- 精神科の仕事内容や対象者に不安がある
- 自分の経験が通用するのか心配
- 環境や雰囲気が大きく異なることへの戸惑い
ここでは、代表的な不安を3つに分けて紹介します。
精神科の仕事内容や対象者に不安がある
精神科の作業療法は、対象となる疾患や介入内容が身体領域と大きく異なります。
- 統合失調症、うつ病、双極性障害、認知症など、多様な疾患が対象
- 「作業」が意味する範囲が広く、手工芸や音楽、SSTなども含まれる
- 評価も「作業遂行能力」や「対人関係スキル」など抽象的な視点が多い
このため、
- 自分に対応できるのか
- 専門性を発揮できるのか
が不安に感じられることがあります。
「手技で回復を促す」急性期とは異なり、「関係性や時間経過で変化を促す」スタイルへの戸惑いが生まれやすいのです。
自分の経験が通用するのか心配
「急性期で培ったスキルは、精神科では通用しないのでは?」という不安もよく聞かれます。
実際、精神科では身体介入の場面が少ないケースもあり、
スキルが活かしにくいと感じることもあるでしょう。
しかし、観察力・報告力・安全管理能力といった、
環境や雰囲気が大きく異なることへの戸惑い
精神科は、急性期病棟と比べて静かで落ち着いた雰囲気が特徴的です。
一見すると「のんびりしている」「動きが少ない」と感じられるかもしれません。
- 身体介助やADL介入の場面が少ない
- 記録やモニタリングは多いが、外から見えづらい
- 「結果」よりも「過程」や「関係性」が重視される
このような違いから、「本当に支援している実感が持てるのか」と疑問に思うこともあるでしょう。
ですが、



利用者の小さな変化や社会参加を見守る支援は、精神科OTならではのやりがいです。
急性期から精神科へ転職する3つのメリット
精神科は、急性期とはまったく異なる支援スタイルが求められる分野です。
- 対象者と深く関われる
- 精神的支援スキルが身につく
- 多職種連携が密でチーム医療を実感できる
ここでは、急性期から精神科へ転職した際に得られる3つのメリットを紹介します。
対象者と深く関われる
精神科では、入院期間が長くなることや、
再入院・通院での継続的支援が多いため、利用者とじっくり関わる時間が確保されます。
- 数ヶ月〜数年単位で関わることができる
- 「一人の人」として、生活背景や思いに寄り添った支援が可能
- 経過を見守る中で、信頼関係が徐々に深まる喜びを味わえる
急性期では、限られた時間の中で効率的に成果を出すことが求められがちですが、
精神的支援スキルが身につく
精神科では、作業活動を通じて
- 情緒の安定
- 社会性の向上
- セルフケア意識の改善
などをサポートする場面が中心となります。
その中で、以下のようなスキルが自然と鍛えられます。
- 相手の表情・しぐさ・声色から“変化の兆し”を察知する観察力
- 否定せず受け止める傾聴力と共感的理解
- 不安・幻聴・不穏な行動などに対する柔軟な対応力
また、
SST(社会生活技能訓練)やWRAP(元気回復行動プラン)など、
精神科特有のプログラムに関われることも、専門性を高める要素です。
多職種連携が密でチーム医療を実感できる
精神科は、多職種チームでの支援が不可欠な分野です。
医師・看護師・心理士・精神保健福祉士(PSW)・薬剤師など、
多様な職種が関わり合う中で、OTの立場からどんな支援ができるかを常に考える環境があります。
- 毎週のカンファレンスで意見交換
- 入退院・通院支援での連携調整
- 家族支援や地域連携における橋渡し役
特に精神科では、
「その人が地域で生活していくために何が必要か?」という問いに対して、多職種で長期的な支援計画を立てていきます。



これは、急性期では味わえない“チーム全体で支援する実感”につながります。
精神科転職で感じやすい3つのデメリット
精神科での作業療法は、深く関われる反面、
急性期で培ったスタイルやスキルとのギャップに戸惑うことも多いです。
- 身体領域のスキルが活かしにくい
- 症状への対応に慣れるまで時間がかかる
- 作業療法の役割が不明確な場面もある
ここでは、精神科へ転職した作業療法士が感じやすい3つのデメリットと、それにどう対応していくかを整理しておきましょう。
身体領域のスキルが活かしにくい
精神科では、身体機能訓練やADLの直接的介入はほとんど行われません。
そのため、急性期で培った身体評価や運動療法の技術を使う機会が激減します。
- 関節可動域測定や筋力訓練は必要とされにくい
- 作業活動もレクリエーションや創作中心になる傾向
- 身体領域の勉強会・症例検討の機会も少ない
「せっかく身につけたスキルが錆びつくのでは…」という不安は非常に多いです。
対処法
- 研修に参加し、兼業やボランティアで身体領域に関わる
- 精神科でも身体合併症のケアや高齢者支援に関わる場面を活かす
症状への対応に慣れるまで時間がかかる
精神科特有の症状(幻覚・妄想・希死念慮・興奮・閉鎖的な反応など)
への対応は、急性期とはまったく異なる対応力が求められます。
- 声かけひとつで症状が悪化するケースも
- 感情的な関わりが利用者に影響する場面も
- 自傷・他害リスクへの安全確保も日常的に考える必要がある
「最初は怖かった」「どう関わればよいか分からなかった」という声は、精神科未経験者には特に多いです。
対処法
- 教育体制が整った職場を選ぶことが重要
- サポート体制があるかを見学・面談時に確認
作業療法の役割が不明確な場面もある
精神科では、OTが「ただのレクリエーション担当」と見なされてしまう職場もあり、
“専門職としての価値を伝える努力”が求められることもあります。
- 作業活動が「ただの時間つぶし」と認識されている
- プログラム参加の意義が明確でない
- 他職種からの期待や理解が曖昧なまま介入することも
「自分の存在意義が見えにくい」と感じ、モチベーションが低下するケースも。
対処法
カンファレンスで積極的にアウトプットし、言語化する力を身につける
精神科OTへの転職を成功させるための3つのポイント
精神科は独特の空気と関係性の中で支援が展開されるため、
急性期とは違う準備や意識の持ち方が求められます。
- 精神科作業療法の基本知識を身につける
- 見学で職場と対象者を体感する
- 自分の強みを言語化して伝えられるようにする
ここでは、精神科作業療法への転職をスムーズに成功させるための具体的な3つのポイントを解説します。
精神科作業療法の基本知識を身につける
まずは、精神科ならではのリハビリの目的と方法論を理解することが重要です。
身体アプローチ中心の急性期とは異なり、
精神科では以下のようなアプローチが用いられます。
- SST(社会生活技能訓練)
- WRAP(元気回復行動プラン)
- 生活リズムの調整支援
- 認知行動療法を基盤にした活動構造化
曖昧になりがちな「作業の意味」を、しっかり言語化して理解することが求められます。
対策
- 日本作業療法士協会や精神科OT協会が出している資料、書籍、研修会を活用
- 精神疾患別の支援の考え方や、リスク管理の知識も必須
見学で職場と対象者を体感する
精神科は「雰囲気」に大きく左右される領域です。
見学によって、自分に合う対象者層や支援のペースを体感できるため、転職前には必ず実施したいステップです。
- 精神科病棟でも、急性期・慢性期・認知症病棟などで雰囲気が全く異なる
- 集団活動の様子や、OTがどのような役割を担っているかをチェック
- 多職種間の連携やカンファレンスの様子を観察できると尚良い
「怖い」「動きがない」という先入観を払拭し、リアルを知ることで不安は激減します。
対策
- 転職エージェントや施設に直接連絡し、同行見学を依頼
- 「利用者にどんな支援ができるか」を自分の視点で整理


自分の強みを言語化して伝えられるようにする
精神科では、専門性が目に見えにくい分、
「自分がOTとして何を大事にしているか」を言葉で伝える力が求められます。
- 急性期で磨いた観察力・判断力・関係構築力
- どんな対象者と関わりたいのか
- どんな変化を支援したいのか
- なぜ精神科で働きたいのか
これらを整理しておくことで、面接時のアピールや、入職後の役割づくりにもつながります。
対策
- 自己分析を行い、「自分が価値を感じた支援」を棚卸しましょう。
- それが、精神科で“軸”を持って働くための支えになります。
まとめ|精神科でOTとして新たなやりがいを見つけよう


急性期での経験は、スピードと的確さが求められる貴重なキャリアです。
一方で、精神科は「関わりの深さ」や「心の回復への寄り添い」を大切にできる、
全く異なるやりがいを提供してくれます。
精神科への転職は、作業療法士として“人を支える本質”にもう一度向き合うチャンスでもあります。
- 関わりを大切にしたい
- 新たなステージで力を発揮した
そう感じたあなたにとって、



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